自閉症と知的障害の違いについて混同される方も多いですが、いったいどんな違いがあるのか詳しくお伝えしていこうと思います。
自閉症と知的障害の違いとは?
まず、自閉症と知的障害は概念が違います。
自閉症とは発達障害のうちの一つです。そして症状も様々で、知的な能力に障害のある人もいればない人もいます。主にコミュニケーション能力など社会的に困難を生じる場合がほとんどです。
一方、知的障害とは知能能力のみの障害です。他の同年齢の人に比べ、年齢相応の発達から知的活動が遅れています。
自閉症と知的障害には、どちらも似たような症状がある場合が多く区別が難しい場合もありますが、まずこのように概念が違います。
診断方法にも違いがあります。
自閉症は主にコミュニケーション能力の困難さから診断することが多いですが、知的障害は知能能力から診断します。ただ、二つの障害を併発している場合も多いため、共通の診断方法もあります。
自閉症でも知能に問題のない場合は、高機能自閉症やアスペルガー症候群などの診断名がつきます。そして自閉症でも知的障害の程度が強い場合、知的障害者として認定されます。
知的障害の程度は、本人のIQを元に重度・中度・軽度と区別されるようになっています。
自閉症にはこのような基準で区別することが難しいため、程度で分類するのではなく、知的障害の有無などによって名称が分けられています。
知的障害の原因は明らかになっていないことがほとんどですが、中には染色体の異常や妊娠中・産後のトラブルなど原因が明確な場合もあります。
一方、自閉症の原因は脳機能の障害であることが明らかです。
<参考>
➝誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた! 」が増えるトレーニング
➝自閉症スペクトラムがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
自閉症と知的障害は遺伝?
自閉症は脳機能の障害が原因であるため、遺伝性の障害であると考えられています。
ただ遺伝のみではなく環境要因もまた、自閉症を発生させる影響を持つと言われるようになりました。環境要因とは、受胎時の父親の年齢、妊娠中の母親の食生活や喫煙、感染症などが考えられていますが、これらもはっきりとわかっているわけではありません。
また、自閉症は親の育て方が影響していると言われることがありますが、それは誤解です。受胎時・妊娠中の環境要因と遺伝が合わさって、自閉症の子を生み出すということが現在の研究では有力です。
ちなみに、自閉症の遺伝の確率に関する研究は様々あります。
例えばきょうだいの遺伝に関しては、一卵性双生児の場合二人ともに自閉症が遺伝する確率が約70%、二卵性双生児は約30%、双子ではないきょうだいの場合は20%程度と言われています。
一方、知的障害の原因は様々で明確でない場合がほとんどなので、遺伝かどうか判断するのも難しいです。ただ、染色体異常が知的障害の原因の場合もあり、親の遺伝子が関係して異常を起こしていることも考えられます。
そのため、遺伝することもあり得るとは言えるでしょう。
ただ、自閉症も知的障害も必ずしも遺伝するわけではなく、障害のある親から障害のない子が生まれることもあります。研究で出た確率を自分に該当させることもできません。
遺伝するかどうかはわからないというのが現状です。どちらも、遺伝する可能性はあると考えるといいでしょう。
<参考>
➝知的障害のある子への「文字・数」前の指導と教材―楽しく学べるシール貼りワーク&学習段階アセスメント表付き
➝ストレス解消fidgetグッズ 気持ちがよくなるおもちゃ 強迫神経症 自閉症なとを缓解 不安 緊張解消グッズ ポケットゲーム (色合わせる)
自閉症と知的障害の子供への適切な関わり方
自閉症と知的障害は異なる障害のため、それぞれ違った関わり方をすることが大切です。
どちらも集団生活においては困難を感じる場合が多いので、学校や幼稚園などでは担任以外にその子をサポートする人が必要になります。
自閉症の子どもは人とコミュニケーションを取ることが難しいので、他の子どもに気持ちを代弁するなどの関わり方が主です。また課題などの教示を、本人にわかりやすく絵や表で説明する関わり方も有効です。
特に、いつもと違うことが苦手な子が多いので、イレギュラーなことがあるときは事前に伝えておくようにしましょう。
知的障害の場合は、言葉の理解や学習面で難しさが出てくる場合が多いので、難しい言葉ではなくわかりやすい言葉で伝える配慮が必要です。
また、ペースも本人に合わせてゆっくり関わることが大切です。
学習面では、本人の知的能力に合わせた課題で達成感を感じられるようにしながら、無理のないカリキュラムで進めていく必要があります。
コミュニケーションに困難はありませんので、わかりやすい言葉で伝えることを心がけながら、人との関わりを楽しめるようにしましょう。
<参考>
➝知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック ―危ない! 困った! を安全・安心に
➝自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心
自閉症と知的障害の違いまとめ
自閉症も知的障害も、子どもによって症状の出方は様々なので、障害とひとくくりにするのではなく、その子に合った関わり方を探していくことが大切です。
また、成長するにつれできることが増える一方、違った難しさが出てくる場合もあります。
そのため、決まった関わり方をずっと続けるのではなく、変える必要があるかどうか見極めながら過ごしていくようにしたいものです。
自閉症や知的障害の子供が「興味をもって取り組める教材」についてお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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